No.34 防災研修の講師をしました – 日本赤十字社 兵庫県支部

事務局長の窓

No.34 防災研修の講師をしました

2021年7月14日 掲載

日本赤十字社兵庫県支部事務局長 大久保博章


兵庫県が主催する県市の新任の係長を対象とした監督職研修。その一コマで90分間の防災研修「震災の教訓を生かす」の講師をしてきた。
例年6月から7月に神戸市垂水区の海の見える高台にある自治研修所で行われており、県を退職してから私が講師をするのも今回が3回目である。平均年齢は42歳、自分より20年も若い県市の中堅幹部である。
私自身がこの研修を受けたのは1994年。阪神淡路大震災の前の年であり、カリキュラムはリーダーシップとか部下の育て方とかが中心で防災に関するものはなかった。震災後、当たり前になった防災研修であるが、昔は全くなかったことは今更ながら驚きである。

今回の研修の内容は、自然災害対策に加え感染症対策にも時間を割くようにして、特に感染症に配慮した避難対策や救護対応にも触れることにした。
もっとも内容の中心は、阪神淡路大震災の教訓をどのように次の災害に活かすかである。震災後、県内では5年ごとに豪雨災害が発生し、10年前には東日本大震災、5年前には熊本地震、3年前には西日本豪雨と大規模な自然災害が発生。その都度防災担当者は、迅速に応援に行き、また支援を受け入れてきた。また震災後、県庁北側の災害対策センターや三木市の広域防災センターをはじめハードソフトの整備が進められてきた。

折しも研修と時を同じくして、東海・九州を中心に大雨が降り続き、特に静岡県熱海市では、土砂災害による甚大な被害が発生している。
日赤本社、静岡県支部では、避難者へのこころのケアを中心に活動が行われているが、今回の災害の特徴は兵庫県内にも2万か所以上もある土砂災害警戒区域のうちの一番危険な特別警戒区域(レッドゾーン)ではなく、イエローゾーンで発生したことだろう。そこに住む人々にとっては、まさかの災害。映像では、信じられない,すさまじい光景が写し出されている。

研修では、今すぐに災害が発生しても、覚悟を決めて、行動してほしいとお願いしたが、この光景を研修生の皆さんはどのような気持ちで見たのだろうか。
そんなことを考えながら、いざ県内で災害が発生した時を想定し、災害マニュアルの点検、救護体制の整備の確認を行っている。