事務局長の窓

No.37 遺贈・相続財産の寄付について考える

2021年9月13日 掲載

日本赤十字社兵庫県支部事務局長 大久保博章


例年9月中旬、全国の支部事務局長が一堂に会し、今後の日赤の在り方、支部の抱える問題について6つの部会に分かれて議論を行っている。昨年は愛知、今年は大阪で開催予定であったが、コロナ禍の影響で2年連続WEB開催となった。本来、時間を忘れ、面と向かって忌憚のない意見を言い合うことができる貴重な場であるが、残念ながら画面越しでの意見交換である。それでも、事前打ち合わせとして2回のWEB会議で、問題意識を共有している。

私の所属する部会のテーマは「遺贈・相続財産について」。寄付者の皆様からのご厚志で成り立っている赤十字社にとって、少子高齢化が進み、寄付文化が世の中に浸透すればするほど、この問題は大きな課題となってくる。全国的には、遺贈、相続財産の寄付のない支部も多い中、幸い、兵庫県支部においては、毎年、遺贈・相続財産の寄付をいただいている。
また、昨年は、みなと銀行と遺贈に関する協定を締結するなど、金融機関、弁護士、司法書士、税理士協会などと連携し、取り組みを進めている。生前からの支部活動支援者からの遺贈のみならず、遺産を相続された方から突然、電話があり、ご寄付いただくことも多い。故人の遺志をしっかりと受け止め、赤十字活動を進めていきたいと思う。

ところで、最近、遺言書に関する法制度か改正されたらしい。遺言の方式には、「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」がある。公正証書遺言は、プロの公証人が関与するので信用力が高く確実であるが、その分費用も高く、心理的なハードルも高いため、利用が進んでいない。一方の自筆証書遺言は、自分で書けるので手軽に作成し、事情が変われば何度でもやり直しができるが、自宅で保管されることが多く、相続人による改ざんや紛失などの問題があった。このため、法制度が改正され、①自筆証書遺言を法務局で保管できる②財産目録をパソコン等で作成できるようになった。

従来、遺言書は全てを手書きであることが必要であるとの日本のデジタル化の遅れにも驚くが、とにかく遺言書が身近になったことは間違いない。私の友人(60代前半)も、早速、自筆証書遺言を作成し、法務局に保管手続きをしたとのことである。友人曰く、「自分の財産を全てリストアップし、家族の顔を思い浮かべながら遺言書を書くというのは、貴重な体験であった。わずか3900円の収入印紙代で手軽にできるので、それほど深刻に考えずに作成しておけば、万が一の時に家族から感謝されるのは間違いないと思う。」とのことであった。

私も、この際、自筆証書遺言を作成してみようか。わずかばかりでも赤十字活動への支援も記載して・・・。