2026年10月30日 掲載
神戸赤十字病院 内科副部長兼救急副部長 佐藤淳哉

熊本地震において、日赤災害医療コーディネートチーム第1班(8月2日~8日)および第3班(9月22日~27日)の一員として、宇城市に派遣されました。
日赤災害医療コーディネートチームは、被災地全体の救護活動を円滑に進むよう、県や市町、保健医療調整本部などの関係機関と連携しながら、赤十字の支援を滞りなく必要な場所へ届ける大切な役割を担っています。
1回目の派遣では、発災直後の被災状況の把握、避難所や救護所の情報収集などに取り組みました。発災から約2ヶ月が経過した2回目の派遣では、現場の声に耳を傾け、支援終了後も安心して生活できるよう、地域の医療体制へ引き継ぐことを意識して活動しました。
2回の派遣を通じて、一人ひとりの思いや不安に向きあい、その声を必要な支援につなげることの大切さを改めて実感しました。
災害救護に携わる原点には、阪神・淡路大震災の被災経験があります。当時、中学3年生で自宅が全壊し、約2か月間、避難生活をしました。その時に感じた「自分には何もできなかった」という無力感と、「あの時お世話になった人々に恩返しをしたい」という思いが今の活動に繋がっているのかもしれません。
2011年の東日本大震災で初めて救護活動に出動して以来、さまざまな被災地で活動してきました。被災された方々のために支援に携わる一方で、被災当時の自分の思いと向き合う機会にもなっていると思います。被災地で一人ひとりの声に耳を傾け、必要な支援につなぎ、地域の支援体制へと引き継いでいく。自身の被災経験を胸に、被災された方々に寄り添いながら、これからも災害救護活動に取り組んでいきます。
姫路赤十字病院 公認心理師 古好佳代 (こころのケア指導者)

災害時には、大切なものを失い、緊張や不安を抱えながら生活されている方が多くいます。
日赤こころのケア班は、被災された方々が少しでも心や身体を休め、本来持っている回復する力を取り戻せるよう、一人ひとりの気持ちに寄り添った支援を行っています。
熊本地震災害の現地では、公共の入浴施設に来られた方に声をかけ、お話を伺うなどの活動を行いました。入浴後に少しでもリフレッシュしていただけるよう、つらい経験についてだけでなく、雑談も交えながら、緊張をほぐし、笑顔を取り戻せるような時間になるよう心がけました。
現地では、想像以上にさまざまな状況がありました。その時々の状況を把握し、被災された皆さまに負担をかけず、どのような支援ができるかを考え続けることに戸惑いもありましたが、日赤の組織力や活動した仲間の支えがあり、乗り越えることができました。
現地で印象に残っていることは、「私たち、元気なんですよ」とおっしゃった被災者の方です。一見、お元気そうに見えても、肩に力が入り、指先がとても冷たくなっていました。
その被災された方に、ハンドケア等を続けていくうちに少しずつ緊張がほぐれ、笑顔が戻り、リラックスされた様子が見られました。その変化を目の当たりにし、活動をしていて良かったなと感じました。
活動にあたり、被災された方々のお気持ちや、生まれ育った大切な街への思いを尊重し、一人ひとりに丁寧に向き合うことを大切にしています。自分自身がホッとできる経験が、家族や周囲の方に伝わるきっかけになればと思っています。赤十字の一員として責任を持ち、自分たちにできることを次につなぎ、皆さまが安心してホッとできる時間を届けることができるよう、これからも一人ひとりに寄り添った活動を続けていきたいです。