(No.3)兵庫県日赤有功会の活動について – 日本赤十字社 兵庫県支部

事務局長だより

(No.3)兵庫県日赤有功会の活動について

2024年7月8日 掲載

事務局長 生安 衛

 蒸し暑く、不安定なお天気が続いています。梅雨明けが待ち遠しい日々を送られていると思います。今年の近畿の梅雨入りは6月21日で、平年から15日も遅くなっていて、1951年以降で3番目の遅さになったと聞きました。このままでいくと、梅雨明けは7月中旬までかかるのではないかと思っています。大雨による土砂災害や河川の増水などに十分注意していく必要があります。

 また、熱中症警戒アラートが各地で発表されるなど、猛暑の日が続いています。これらは地球規模の気候変動の影響であるのかと感じてしまいます。

 将来、さらに悪化するであろう気候変動を人道危機としてとらえて、日本赤十字社の活動を改めて考える必要があるのではないかと思います。

兵庫県日赤有功会は支援団体

 来年、日本赤十字社兵庫県支部は、設立135年を迎えます。これまで、災害救護活動などの多様な事業を展開できましたのも、兵庫県日赤有功会をはじめ多くの皆様のご支援の賜物であります。特に、兵庫県日赤有功会は、赤十字を理解し、赤十字の活動資金である会費を拠出いただき、日本赤十字社有功章などを受章された方々による日本赤十字社兵庫県支部の力強い支援団体です。

 1965(昭和40)年に設立されて、来年60年目を迎えようとしています。全国で7番目に設立されました。

 本会は、赤十字の人道的使命を広め、社会の福祉と世界の平和に寄与することを目的として結成され、設立当初144名の会員数でありましたが、現在では400名近い方が登録され、活動いただいております。

 主な事業としては、青少年育成活動に対する支援、姫路赤十字看護専門学校の看護学生に対する就学奨励、血液事業の支援(献血ルームの備品整備など)、海外たすけあいキャンペーンの協力のほか、視察旅行などを通じた会員同士の交流を行っていただいております。

 設立以来、阪神・淡路大震災などを経験し、長引く経済不況もあり、決して平たんな道のりではありませんでしたが、常に兵庫県支部の赤十字活動の支援団体として歩み続けていただいておりますことは感謝の念に堪えません。

 さらに、今後、兵庫県日赤有功会の会員数を増やし、兵庫県支部の活動の幅を広げていくことは重要であると考えております。ぜひ、応援いただける方や興味のある方などは事務局にお問い合わせ願います。

(令和6年度兵庫県日赤有功会総会)

 さて、令和6年度の総会は、6月24日(月)に開催し、会員や赤十字関係者総勢66名が参加され、赤十字活動の支援、赤十字精神の普及・啓発を中心とした事業計画などが承認されました。

 まず総会に先立ち、桑田純一郎会長から挨拶がありました。挨拶の中で、兵庫県支部が能登半島地震に際して、医療救護班やこころのケアチームを被災地へ派遣し、被災された方々への支援にあたったことなどに触れられて、「こうした赤十字の災害救護活動に賛同いただいた本会会員の皆さまからも、活動資金へのご協力のお申し出を多くいただいていると聞いており、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。また、本日は本総会及び記念講演を通じて、有功会が取り組む活動の意義や、赤十字活動への理解をさらに深めていただき、本会の一層の発展にお力添えを賜りますようお願い申し上ます」との開会挨拶がありました。

 続きまして、令和5年度事業報告及び決算報告、令和6年度事業計画(案)及び予算(案)、役員改選や視察旅行・会員親睦交流会などについて協議が行われ、その後、仲間づくり運動感謝状贈呈(2名)や米寿のお祝い(8名)なども行われました。

 結びにあたり、2015(平成27)年に策定され、10年間受け継がれている「申し合わせ」を田畑富子副会長に読み上げていただきました。内容は、「赤十字に対する理解を深め、会員の仲間づくり運動により新規会員を勧誘し、会勢の発展に寄与することをもって、兵庫県支部の進展に協力するとともに、世界の平和と人類の福祉に貢献することを申し合わせる」というものです。

(兵庫県日赤有功会での記念講演)

 今回の総会終了後には、神戸赤十字病院の白坂大輔医師から記念講演をいただきました。タイトルは、「私の中の赤十字~阪神淡路大震災から能登半島地震まで~」でした。

 白坂先生は、医師となって2年目に阪神・淡路大震災を経験されました。その後、東日本大震災、熊本地震、能登半島地震において、救護班で支援活動をされています。

 特に、東日本大震災では、高齢者を中心に500人以上の方が避難されている高校の体育館で、「インフルエンザ患者が集団発生しているからなんとかしてほしい」との要請を受けて、隔離療養やタミフルの投与など、昼夜を分かたず懸命の支援活動に携わり、新規感染者なし・隔離患者もなしという状況へと導かれました。そのことで、避難所体育館に笑顔が戻ったとの話がありました。

 また、先生の災害救護支援の原点は、阪神・淡路大震災でした。医師2年目の時に、がれきの下から救出された19歳の女の子が先生の病院に運ばれてきました。目立った外傷はないものの、腎臓は働いておらず、肝臓もかなりダメージを受けていました。クラッシュ症候群でした。体の上に長時間重いものがのっていると筋肉がこわれ、血液の流れがよくなった時に、ミオグロリンやカリウムが全身に回り、腎臓が悪くなったり、不整脈で心臓が止まってしまう病気です。当時は搬送先もなく、集中治療が行われましたが、数日後亡くなられました。

 阪神・淡路大震災で亡くなられた方は6,434名です。そのうちの一人の命を救えなかった、その時の先生の悔しい想いが伝わってきました。そして、日々、先生が自分に何ができるかを考えて生きてこられ、日赤救護班活動に全力を注ぐことがやるべきことだと決断されたことを述べられました。

 記念講演の最後には、有功会会員等の皆様が、臼井真さんが作詞・作曲された「しあわせ運べるように」を、当時の阪神・淡路大震災での映像とともに聞き、辛く苦しい思いをしながらも希望をもって生きてきた当時を振り返りました。

 URLにアクセスいただき、震災当時の状況や思いが込められた動画をご拝聴ください。

 来年1月17日に、阪神・淡路大震災から30年の節目を迎えます。兵庫県支部では、震災の経験と教訓を次世代につなげることが重要であることから、兵庫県日赤有功会の皆様とともに、若い世代を中心に、震災の伝承や発信に努めてまいります。

 URL:https://www.youtube.com/watch?v=LDngfGdrYjk