2025年7月3日 掲載
事務局長 生安 衛
6月27日に近畿地方は梅雨明けが発表されました。これは速報値でありますが、平年より22日、昨年より21日早くなっており、夏の季節が一月近くも早く進行したように感じています。
いつもの年から考えますと、梅雨期は大雨による災害の発生しやすい時期で、曇りや雨の日が多くなって、日々の生活等に様々な影響を与えます。日赤の災害救護という面からも注意しなければならない時期でもあります。
今年は、一部の地域で大雨が降ったところはありますが、梅雨の期間であるのに快晴であることが多く、各地で猛暑日になるなど、季節外れの暑さとなりました。そして、今も真夏を思わせる強い日差しが照り続けています。
これらは、地球温暖化の影響で、インドのモンスーンの降雨の変動が、これまで以上に加速化していることが作用している面もあるのではないかと言われています。
いずれにしましても、今年の夏は、全国的に気温が高くなり、長期化することが見込まれ、これからの時期に備え、熱中症の一層の警戒は極めて重要だと考えています。
(熱中症の対策)
熱中症は、高い気温と湿度のほか、無風状態や強い直射日光が原因で起こります。汗をかきすぎて、体内の水分や塩分が失われて体温を調整する機能が低下し、体に熱がこもって、発症します。
代表的な症状には、めまい、立ちくらみ、足がつる、汗がとめどなく出る、頭痛、動悸、吐き気、倦怠感などがあります。熱中症の体調不良の症状は、一人一人の体調や体力などによって様々な状況にあります。
熱中症を防ぐための対策として、私自身が気をつけていることは、まず、こまめな水分補給です。のどの渇きを感じる前から水やスポーツドリンクを飲み、大量に汗をかいたと感じる時には、経口補水液を飲むことが多いです。
また、部屋にいる時には、すだれやカーテンで直射日光を遮るほか、エアコン・サーキュレーター・扇風機を十分に活用するようにしています。長時間、外出する時は、通気性の良い服、帽子やネッククーラーを利用するようにしています。
さらに、体が暑さに十分に慣れていないと、熱中症になることがあると言われていますので、普段から、軽いウォーキングなどで、汗をかいて、暑さに慣れるように気をつけています。
とりわけ、厚生労働省が「熱中症を防ぐために知っておきたいこと」をホームページで詳細にまとめられていますので、これを参考にして、正しい知識を学び、毎日の心がけと備えで、暑い夏を元気に乗り越えたいと考えています。

<厚生労働省:熱中症予防のための情報・資料サイト>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/prevent.html
(熱中症警戒アラートや熱中症特別警戒アラートの確認)
熱中症の危険を発信し、警戒を呼びかけるため、環境省と気象庁が共同で発表しているのが「熱中症警戒アラート」と、昨年4月から運用が始まった上位の「熱中症特別警戒アラート」です。どちらも、令和7年は4月23日(水)から 10月22 日(水)の期間で運用が行われていますので、気象庁のホームページなどで、暑さの度合いを確認しましょう。
<気象庁:熱中症予防情報サイト>https://www.wbgt.env.go.jp/
「熱中症警戒アラート」が発表された時点で、熱中症の危険度は極めて高くなります。特に「熱中症特別警戒アラート」は、熱中症警戒アラートよりもさらに危険度を示すアラートです。熱中症による救急搬送者数の急増の恐れある危険な暑さであり、危険度は一層高まります。
日々の状況を把握するために、私はLINE公式アカウント「環境省」を活用しています。LINEアプリでLINE公式アカウントを友だちとして追加していただくと、 熱中症警戒アラート・熱中症特別警戒アラートの発表や暑さ指数の情報を受け取ることができますので、便利です。登録方法は次のアドレスをご確認ください。
<環境省公式アプリラインアカウントによる情報発信>
https://www.wbgt.env.go.jp/line_notification.php
(熱中症予防は事業主の義務)
今年の6月から労働安全衛生法の規則が改正され、企業において職場の熱中症対策を強化することが義務付けられたことはご存知でしょうか。
熱中症のおそれがある労働者を早く見つけて対処することで重篤化を防ごうと、企業に対して医療機関への搬送の手順などをあらかじめ決めて、職場で周知することが先月から義務づけられました。
厚生労働省によりますと、令和6年の全国の職場での熱中症による死傷者は、最も多い1,257人に上りました。このうち亡くなった人は31人で、3年連続で30人以上となっています。
熱中症で死亡した人は、体温が高く意識がもうろうとするといった初期症状の放置や、医療機関への搬送などの遅れなどが主な原因となっております。
対象として、業種は限定されておらず、「暑さ指数(WBGT)」が28以上又は気温31度以上の環境で、連続1時間以上又は1日4時間を超える実施が見込まれる作業で、対策を怠った場合は、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます。
当支部でも、酷暑の中での様々な事業を控えており、頭痛やめまい、ふらつきなどの症状が出ている職員や参加者を発見すれば、涼しい場所で休ませて、様子がおかしければ、早急に医療機関へ搬送するなどの手順や連絡体制をあらかじめ整えていく必要があると感じています。
(大阪・関西万博での取組)
このように暑さが本格化するなか、大阪・関西万博でも熱中症の危険度が高まっています。そのために、私は大阪・関西万博を訪れる際には、ゆったりとして乾きやすい、白を基調とした服装を意識しています。また、日傘やつばの大きい帽子、携帯式扇風機、ネッククーラー等を身に着けるとともに、凍らせた水の入ったペットボトルを数本持つようにしています。さらに、風が抜けて涼しい大屋根リングの下・木造りの休憩所で休憩したり、広い会場内の移動はバスに乗ることなどで、熱中症予防に心がけています。
万博協会ではパラソルを300基以上用意するとともに、東ゲートで入場を待つ人たちに日傘の貸し出しを行っています。移動式エアコンやミスト付き扇風機も各所に配置されています。また、マイボトル洗浄機・給水機の配置、ミストゾーンなどのクールスポットの設置、診療所(3か所:医師・看護師在室)・応急手当所(5か所:看護師在室)が設営されています。
私どもの「国際赤十字・赤新月運動館」は、近くに日陰がないため、熱中症対策が喫緊の課題であります。入場待ちのお客様等の体調に配慮すべく、テント3張りと冷風機2台をパビリオン周辺に設置しています。
連日真夏のような暑さが続く中、ご来館者だけでなくスタッフの体調管理を常に配慮しながらのパビリオン運営が必要となっています。
日本赤十字社の使命は、人間のいのちと健康を守ることでありますことから、パビリオンにおいても、来場者の体調不良や怪我などに対しても対応すべく、スタッフが連携協力しながら迅速丁寧な対応を続けているところであります。


今回の局長だよりで述べさせていただいたとおり、地球温暖化によって大気全体の温度が上がっていることに危惧しています。そして、酷暑が常態化するなか、熱中症リスクを把握し、予防することは、いのちと健康を守るために極めて重要なことだと感じています。そのためにも、日本赤十字社として、普及啓発・注意喚起を行うなど、対策に万全を期すよう努めてまいりたいと考えます。