保健医療支援のため知野見看護師(神戸赤十字病院)を平成19年7月から6カ月間フィリピンに派遣しました。 – 日本赤十字社 兵庫県支部

災害救護・国際活動報告保健医療支援のため知野見看護師(神戸赤十字病院)を平成19年7月から6カ月間フィリピンに派遣しました。

2008年2月7日 掲載

日本赤十字社の活動

平成19年(2007年)7月19日から平成20年(2008年)1月20日までの6カ月間、知野見優紀子(ちのみゆきこ)看護師(神戸赤十字病院)をフィリピン共和国キリノ州ナグティプナン郡に派遣しました。
 知野見看護師の主な活動目的は、フィリピン赤十字社の保健チームの一員として、特に人里離れた農村部でのプライマリ・ヘルスケアなどの保健医療支援を行うことです。

このフィリピンでの保健医療支援活動は、フィリピン赤十字社と日本赤十字社の共同事業として平成17年(2005年)から開始され、地元住民の皆さんが必要最低限の医療サービスを受けられるようにするため、医療ボランティアスタッフ「ヘルスワーカー」の育成を目的に、継続的に看護師を派遣しています。

現地では、ヘルスステーション(簡易保健所)や給水設備の建設事業も併せて進めており、完成したヘルスステーションでは、助産師やヘルスワーカーの常駐、週1回の医師の診療など、地域の保健医療サービスの充足にむけた体制が整ってきはじめています。

村落ヘルスワーカーへの手洗い指導をする知野見看護師
地元病院の救急処置室の様子

フィリピン共和国キリノ州ナグティプナン郡とは

フィリピンの首都マニラから車で8~9時間、山深く入った先に、キリノ州ナグティプナン郡があります。
ここキリノ州は132の村があり、その8割は山脈が占め同州の中心部からでさえも、車やボートを乗り継ぎ、徒歩で丸1日以上かかるような村もあります。また、住民の9割以上が農家です。

現地での主な支援活動

日本赤十字社では、フィリピン赤十字社や地元政府とともに、村落ヘルスワーカー(保健衛生の基礎的な知識や技術を身につけた人々)の育成に取り組んでいます。
このほか、ヘルスステーション(保健所)や給水設備を設置するなど、住民の健康を守るための、保健衛生環境の整備を進めています。

住民の皆さんに血圧測定サービスを行う知野見看護師
住民への聞き取り調査をする知野見看護師

テレビでも紹介されました

NHK海外たすけあいキャンペーンが始まった12月1日、皆さまからお寄せいただいた義援金がどのように使われているかを紹介する特集番組「あなたのやさしさを2007」(NHK総合テレビ)において、知野見看護師の活動が放送されました。

井戸支部長(兵庫県知事)への活動報告

知野見(ちのみ)看護師は、帰国後の平成20年2月7日に井戸支部長(兵庫県知事)に活動報告を行いました。
知野見看護師から井戸支部長への活動報告内容は、次のとおりです。

帰国後に井戸支部長(兵庫県知事)に活動報告を行いました。

海外での支援活動を終えて

今回、初めて看護師として海外へ赴任し、最初は現地と日本での大きな生活の違いを感じましたが、まず、現地の状況把握や協働するスタッフたちの信頼を得ることに努めました。
派遣先のキリノ州ナグティプナン郡では、病院がない、医師や看護師が少ない、お金がないなど、村の住民が医療保健サービスが受けられない状況でした。
最低限必要な保健医療サービスを受けられるようになるようにするには、簡易保健所の建設と、地域住民の健康を守ることができるヘルスワーカーを育てることでした。   
実際活動では、医療知識のない地元の人々に、血圧測定や手洗いの指導、救急法・心肺蘇生法などの講習を行いヘルスワーカーの育成に努めるとともに、戸別訪問により、住民への聞き取り調査や現地の住民の健康レベルや衛生レベルの把握にも努めました。
今回の派遣で、本当に支援の必要な人たちへ行き届くような保健医療支援をしていく難しさ、また事業を進めていく上での他機関との連携・協力の必要性、現地スタッフとの人間関係・信頼関係作りなど、多くの学びや課題はありましたが、日本での活動においてもさらに深めていきたいと思います。

日本赤十字社では

日本赤十字社では、ジュネーブ(スイス)にある赤十字国際委員会(ICRC)をはじめ国際赤十字・赤新月社連盟、各国の赤十字社と協力して国際救援活動や開発協力活動を実施しています。