2020年9月11日 掲載
日本赤十字社兵庫県支部事務局長 大久保博章
コロナ禍の時代になってたくさん横文字の言葉が生まれた。クラスター、オーバーシュート、ピークアウト、ステイホーム、ソーシャルディスタンス、リモートワーク、アフターコロナ・・・。
その中で、様々なとらえ方があるのが、エッセンシャルワーカーだ。日本語に直せば、必要不可欠な労働者。日常生活を維持していくうえでなくてはならない職業についている人々を指すという。その代表は、医療関係者、介護関係者、保育関係者。交通機関や食品製造、小売り、流通関係者も含まれるという。警察、消防、行政といった公務員もそうだろう。金融機関に勤める知人は、中小企業を支える自分たちもエッセンシャルワーカーとして仕事をしていると言っていた。
感染リスクを抑えるため不要不急の外出が控えられる中においても、不特定多数の人と接することに耐えながら働く人々への尊敬と感謝の気持ちを込めての言葉であり、このような言葉が多くの人から語られることは喜ばしい。
かつて工業化の進展でホワイトカラーとブルーカラーの区分けができたように、デジタル化とコロナの影響で、エッセンシャルワーカーとリモートワーカーという新しい仕事の区分けができつつある。
私たち赤十字の仕事は、災害救護、講習・奉仕活動、病院、献血。このうち病院、献血の職員は間違いなく、エッセンシャルワーカーであるが、県支部が担う講習・奉仕活動、災害救護はどうなのか。
支部では、今リモートワークを実践し、ウェブを使った事業展開を始めたところであり、リモートワーカーに区分されるのだろう。しかし、日常生活を維持していく上で不可欠かどうかはともかく、いざという時に備えるという面ではなくてはならない仕事である。
9月に入り台風が続け様に発生している。これから台風シーズン本番。コロナ禍の時代における災害対応という新しい課題に対し、いざという時のエッセンシャルワーカーの気概をもって赤十字事業にとりくんでいきたい。