No.15 自然災害の季節に – 日本赤十字社 兵庫県支部

事務局長の窓

No.15 自然災害の季節に

2020年10月1日 掲載

日本赤十字社兵庫県支部事務局長 大久保博章

あっという間に10月、今年は新型コロナ拡大の影響で、自然災害を忘れがちになってはいないだろうか。年平均26個発生するといわれている台風も、台風シーズンの9月を過ぎても、まだ13個しか発生していない。また、台風の上陸数も例年7月から9月までに5個程度はあるのに、今年は0である。このまま、台風上陸のない年となればいいとは思うけれど、そのような例は過去20年間で1度だけである。

思い起こせば2004年。この年は年間29個の台風が発生し、そのうち10個が上陸という戦後最多の台風上陸を記録した災害の多い年であった。10月20日に台風23号が四国、近畿、東海を中心に大雨を降らせ、兵庫県では但馬、淡路、北播磨地域を中心に甚大な被害を出し、26名の尊い命が犠牲となった。

あの時のことを忘れずに、10月も気を引き締めて自然災害に備えなければならない。

そんな中、今、兵庫県支部では、救護員主事研修と救護員基礎・実践研修を実施している。本来ならば5月に実施すべきところ、新型コロナウイルス影響で延期したもので、三木市にある支部の災害救護支援センターを活用している。

主事研修では、災害時に最も重要な情報収集、伝達訓練やエアーテント実技を、主事も含めた医療スタッフの基礎・実践研修では、トリアージやこころのケア、避難所・診療所運営実習まで密度の濃い研修内容となっている。 研修の冒頭に挨拶をしながら一人ひとり、赤い救護服を着用した研修受講者の真剣なまなざしを見ると、救護にかける使命感と日本赤十字社職員としての誇りが感じられる。研修受講者が災害現場で活躍できる知識・経験を身に着けて、いつかは起こる災害時に適切に活動してくれることを確信している。